股間・ちんちんの痛み・違和感・腫れ・痒み・できもの

陰嚢(精巣)の病気について

陰嚢陰嚢内には精巣が存在していて、精巣の横には精巣上体が付いています。精巣で作られた精子は精巣上体を通過し、精管へ運ばれます。
そして精索(せいさく)という、精管と血管(動脈・静脈)、神経、リンパ管が束になっている部分があります。精巣や精索に異常が生じると、様々な症状が出現します。

精巣捻転(精巣がねじれる)

精巣捻転とは

精巣捻転(せいそうねんてん)とは、陰嚢に包まれている精巣が中でねじれてしまう疾患です。精巣への血流が塞がって絶えることで、精巣が壊死する恐れもあるため、大変恐ろしい疾患です。思春期前後の若年層に多く見られ,就寝時に発症するケースが多いです。
発症すると激痛が生じ、精巣の腫れ、腹痛、吐き気、嘔吐などが起こります。
また、急に精巣が激しく痛みだした場合でも、自然に精巣が元の状態へ戻り、痛みが治るケースもあります。しかし再発しやすいので、放置せずに当院へ受診してください。

精巣捻転の治療

速やかに治療を受けないと、精巣が壊死する可能性が高くなります。手術で陰嚢の切開を行い、精索の捻れを解消させていきます。そして再び捻れが起こらないよう、精巣を固定していきます。捻れを解消させても陰嚢の色が戻らなかった場合は、精巣を摘出する必要があります。
ほとんどの場合、発症から6時間以内に治療を受けると、精巣の90%以上が正常に戻ると言われています。しかし12時間経ってしまうと血流の途絶によるダメージが増えてしまい、約50%の方が精巣の摘出を選択しなければいけません。 捻れてない方の精巣にも捻転が起こらないよう、予防として固定術を受けていただく可能性もあります。

急性精巣上体炎

急性精巣上体炎とは

急性精巣上体炎(きゅうせいせいそうじょうたいえん)とは、尿道から細菌が侵入し、精巣の横に位置する精巣上体へ感染することで起こる炎症です。細菌感染によって、片方の精巣が腫れたり陰嚢が痛くなったり、発熱を起こしたりします。クラミジアなどの性感染症で発症するケースもありますが、大腸菌などの菌が侵入して発症するケースがほとんどです。重篤化すると、手の拳ほどのサイズまで腫れ、熱間と激痛を伴うようになります。

急性精巣上体炎の治療

抗生物質を用いた薬物療法を行います。クラミジアによって発症している可能性が高い場合は、アジスロマイシンを処方します。 また、陰嚢を冷やすとより痛みが緩和されやすくなります。痛み・熱に関しては、抗生物質を服用し続けると徐々に落ち着いていきます。
精巣上体の腫れは1ヶ月程持続することもありますし、硬いしこりが残ってしまうケースもあります。とはいえ、治療が終わった後は元の状態へ戻りますので、心配せずに治療を継続していきましょう。

精索静脈瘤

精索静脈瘤とは

血液は、人間の身体にある血管を通り、全身へ送り出されてから心臓へ帰ります。精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)とは、精巣から心臓へ帰るはずの血液が逆流することで、精巣に血管の瘤(コブ)が生じてしまう疾患です。左側の陰嚢にできるケースが多く、痛みや不快感が現れます。
また、男性不妊症の患者様の約40%に、精索静脈瘤が見られると報告されています。
とはいえ、「精索静脈瘤がある=男性不妊症になる」と断言することはできません。精索静脈瘤は超音波検査で診断を行いますが、ご自身が「不妊症かも」と悩んでいる場合は、精液検査を受けていただくことをお勧めします。
ちなみに、健常な男性でも15%の確率で精索静脈瘤があると指摘されています。

精索静脈瘤の治療

軽い痛みや不快感程度の症状でしたら、漢方薬で症状改善を目指します。漢方薬の服用で痛みや不快感は緩和されますが、精索静脈瘤そのものには効きません。
漢方薬の服用を続けても痛みや不快感が落ち着かない場合は、傷口が少なく済む、顕微鏡を使用した手術を選択します。当院では顕微鏡手術に対応していませんので、顕微鏡手術をご希望の方には、連携先の医療機関へご紹介します。

精巣腫瘍

精巣腫瘍とは

精巣にできる悪性の腫瘍です。痛みや発熱などの自覚症状が目立たないので、早期発見が難しい疾患とされています。しかし進行スピードが速いので、すぐに転移しやすい傾向にあります。そのため「精巣腫瘍が見つかった時には、すでに進行していた」というケースも珍しくありません。また、肺やリンパ節へ転移しやすい傾向があるため、早期発見・早期治療が極めて大切になります。
少しでも早く見つけるには、普段から精巣のしこりや腫れをチェックする必要があります。お風呂に入る時などのタイミングで、ご自身の精巣に触れてみて、左右の違いや精巣が大きくなってきていないかを確認してみましょう。

精巣腫瘍の治療

腫瘍のステージに合った治療法を選びますが、基本的には、精巣・精索を摘出する手術(高位結紮術)で治していきます。腫瘍の深度・進行度によっては放射線治療や化学療法を追加することもあります。分からないことがありましたら、当院へご相談ください。

陰嚢水腫

陰嚢水腫とは

陰嚢内にリンパ液が貯留し、腫れ上がってしまう疾患です。40代以上の男性に発症しやすい傾向があります。特に、これといった原因もなしに発症する疾患です。なお、子供の場合は、陰嚢が腹腔内と繋がっている影響により、腹水が陰嚢の中へ貯留することで発症します。
陰嚢水腫は発症しても痛みを伴いませんし、悪性の疾患でもありません。ただし歩行困難など、日常生活に支障をきたしている症状がある場合は、手術を受けた方が良いでしょう。

陰嚢水腫の治療

針を刺して(穿刺)、陰嚢内に貯留されていたリンパ液を排出させることで水腫を縮小させる方法がありますが、これは再発リスクが高い方法です。また、穿刺による治療には、「水腫が再発した時に手術しにくくなる」というデメリットもあるため、当院ではあまりお勧めしていません。
陰嚢を切開し、液体を包む膜を切り開く方法ですと、ほとんどの確率で再発しなくなります。手術は腰椎麻酔をかけてから行います。手術にかかる時間は30分程度です。

その他で陰嚢に痛みや違和感を引き起こす病気

慢性前立腺炎

頻尿や残尿感、下腹部や陰部・下肢の痛みやしびれなどの症状が現れる疾患です。超音波検査や血液検査、尿検査などで、「腫瘍・細菌感染による発症ではない」と判断できましたら、内服薬や漢方薬を処方し経過観察していきます。
睾丸の鈍い痛みや不快感などがある場合は一度、ご相談ください。

姿勢やズボンによる圧迫

「座っている間、椅子と足の間に陰嚢を挟み続ける」「締め付けの強いズボンを履く」などの習慣が続くと、陰嚢の血流が滞りやすくなります。血流が滞ると、陰嚢の痛みや不快感などの症状に悩みやすくなります。
近年ではコロナ禍によるテレワークの普及により、陰嚢の不快感を訴えて受診される方が多くなっています。座り仕事が多い方は、こまめに姿勢を変えるなどの対策を行いましょう。また、締め付けの強いズボンや下着などを着けるのもできる限り避けましょう。

陰嚢の病気の検査

尿検査

尿の中に細菌や赤血球、白血球、がん細胞が含まれていないかを調べる検査です。特に急性精巣上体炎などのような疾患は、尿道から大腸菌などが侵入して感染するケースが多いので、尿検査で調べる必要があります。

採血検査

腫瘍マーカーを調べ、精巣腫瘍や前立腺がんの可能性がないかを調べます。また、感染症の場合は特に、白血球やCRP(C関連蛋白)の数値を確かめることが重要です。

超音波検査

陰嚢の疾患を診断するのに極めて有効とされています。身体に害を与えずに検査が可能であり、精巣のしこり・精巣の場所を調べたり精巣の血流や形を見たりすることも可能です。

CT検査

精巣腫瘍の疑いが強い時に、肺やリンパ節への転移が起こっていないかを調べるのに有効です。必要がある場合は連携する高度医療機関を紹介させて頂きます。

陰嚢が痛い・違和感がある
などでお悩みでしたらぜひ、
当院までご相談ください

当院は患者様を番号でお呼びしたり、診察室の会話が外に漏れづらい音響設備にしたりといった、プライバシー保護対策に徹底した診察を行っています。高いスキルを活かし、患者様一人ひとりに丁寧に向き合った診察を努めていきます。
「陰嚢が痛い」「違和感がある」などでお悩みの際は、当院へご相談ください。

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